恵まれている日本の水道水は意外にも深刻?

日本は、水道水に恵まれた国である。水道の蛇口を捻ればそのまま水が飲めるという生活は一見当たり前のように感じてしまうが、実はこれは世界でも珍しいということをご存じだろうか。国土交通省によると、水道水をそのまま飲める国は日本を含めて世界に8カ国しかなく、そのまま飲めるが注意が必要な国も21カ国にとどまっている[1]。我々が日々使用できている水道水は、大変ありがたいものなのだ。


しかし、このきれいな水は、意外にも大きな問題に直面している。厚生労働省によると、年間2万件を超える水道管の漏水・破損事故が起こっている[2]。これは、高度経済成長期に整備された水道管の老朽化が一気に到来していることが要因である。1960年には53.4%だった水道普及率は、1965年には69.4%、1970年には80.8%となり、10年間で27.4ポイントも増加している[3]。この期間に急速に普及した水道管の更新時期が、現在になって訪れた格好だ。


さらに同資料をみると、水道管の法定耐用年数として定められた40年を超えている割合(老朽化率)は14.8%で年々上昇の一途をたどっている。一方で、水道管の更新率0.75%は、年々低下し近年は横ばいで推移しており、先に述べた事故件数も頷ける。さらに、今後20年間に更新が必要な水道管は日本全体の23%を占めている。しかし、これらを更新するには年1.14%の更新率が必要であると推計されているが、現状ではその更新率に及んでいない。加えて、全ての水道管を更新するには130年かかるとも言われている。このような背景は、水道管の老朽化問題の現状を裏付けているといえよう。


こうした現状に対して、政府は2018年に水道法を改正し、水道事業に関して官民連携を推進した。さまざまな条件はあるものの、水道施設の所有権を国や行政機関に残したまま、公共施設等運営権を民間企業に設定できる仕組みを導入するなど、民間企業も含めた水道事業の活性化を促したのである。


ただ、制度的な問題以前に大きな課題があると感じる。それは水道事業の職員数の減少だ。水道管の老朽化率は上昇し事故件数も顕著な現状があるにも関わらず、1980年には約7万6,000人とピークだった職員数は、2018年には4万5,000人を下回るなど減少するばかりだ。このように職員数の減少とともに水道管の老朽化率が上昇するなか、現状に歯止めをかけるために、相応の職員数の増加が必要となるだろう。他にもさまざまな課題があるものの、水道管の漏水・破損事故が日常でいつ起きてもおかしくない現状を前に、早急な対策が急がれる。


[1]国土交通省「令和元年度 日本の水資源の現況について」

[2]厚生労働省「水道の現状と基盤の強化について」

[3]厚生労働省「水道の基本統計」同統計によると2018年時点で水道普及率は98.0%

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
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この記事を書いた人

帝国データバンク

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株式会社帝国データバンク(ていこくデータバンク、英: Teikoku Databank, Ltd.、略称: TDB)は、企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社である。1900年3月3日に後藤武夫が帝国興信社として創業、その後法人化し商号を帝国興信所とした。1981年に社名を現在の帝国データバンクに変更。それと同時に従来請け負ってきた結婚調査・雇用調査等の個人調査を廃し、業務を企業信用調査に特化した。本社は東京都港区。