企業が勝ち抜くために必要な「DX」の真実

近年、企業の成長戦略として注目を集めている「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。


企業にとってDXとは、データとデジタル技術を活用してあらゆる変革を起こすことで業績を改善するなど、競争上の優位性を確立することである。ビジネス環境が激しく変化するなか、企業が競争力を維持・強化する重要なカギのひとつはDXであるといっても過言ではない。


しかし、DXの重要性を認識してはいるものの、具体的にどこから始めれば良いのか分からず、実践に移せないでいる企業も多いのではないだろうか。実際、日本能率協会が2020年7~8月に行った「DXの取組状況」調査[1]によると、既にDXに取り組み始めている企業は28.9%と3割未満であった。なかでも中小企業においては、既にDXに取り組み始めている企業は15.2%にとどまっており、全体を大幅に下回っている。


さて、DXは具体的にどう取り組めば良いのか?またそもそもDXは、こちらも同様に耳にする機会が増えている「デジタル化(IT化)」とどう違うのか?


企業にとってのデジタル化とは、いわゆるデジタル技術・IT技術を業務に活用することである。業務の効率化や生産性の向上、コスト削減を目的とすることが多い。例えば、取り組みが急増しているテレワーク設備や、RPAなど業務効率化ツールの導入などがあげられる。他方、DXはそれらデジタル技術やデータの活用によって製品やサービス、ビジネスモデルなどに変革をおこし、業績の改善につなげることを指している。つまり、デジタル化はDX推進の「手段」と考えて良いであろう。


DXの具体的事例として、経済産業省が発表しているDXのベストプラクティス「DXグランプリ2020」に選ばれた小松製作所は、同社が販売した建設機械の情報を遠隔から確認・操作するシステムを開発。顧客に対して稼働率向上や保守サービス費用削減といった付加価値を提供している。他方、中小企業に関しても、情報処理推進機構(IPA)の事例調査報告書[2]で取り上げられた碌々産業(金属工作機械製造、東京都)は、顧客と一体となって微細加工機を遠隔監視し、予防保全や早期トラブルの解決ができるサービスを開発した。このように、大企業・中小企業を問わず、デジタル技術の活用によって顧客を支援し、顧客体験を高めるという新たなビジネスモデルを生み出しているのである。


しかし、特に中小企業においては、資金やIT・デジタル人材の確保が困難な企業も多く、デジタル技術の活用で製品やビジネスモデルの変革を図ることはそう簡単ではない。そのため、DXの第一歩として、個別の業務フローを見直したうえで紙媒体のものをデータ化し、手作業で行なっているプロセスをデジタルに置き換えることから始めることも一案である。


企業が変化し続けるビジネス環境で勝ち抜くためにDXの推進はますます求められている。さらにいえば、昨今の米国の景気回復の例にみられるように、DXは経済回復の一因ともなり得る。人材の不足などDXの推進を妨げる要因も多いなか、政府による支援策や情報提供の充実が欠かせない。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
企業が勝ち抜くために必要な「DX」の真実

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この記事を書いた人

帝国データバンク

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株式会社帝国データバンク(ていこくデータバンク、英: Teikoku Databank, Ltd.、略称: TDB)は、企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社である。1900年3月3日に後藤武夫が帝国興信社として創業、その後法人化し商号を帝国興信所とした。1981年に社名を現在の帝国データバンクに変更。それと同時に従来請け負ってきた結婚調査・雇用調査等の個人調査を廃し、業務を企業信用調査に特化した。本社は東京都港区。