国勢調査結果から得られる経営上のヒント

総務省から2021年6月25日に令和2年(2020年)国勢調査の速報値が公表された。
それによると日本の総人口は、前回調査(2015年)より約86万8,000人減少し、1億2,622万6,568人となった。1920年の調査開始以来、初めて人口減少を示した2015年に続き、2回連続の減少となっている。
また、この5年間の都道府県別人口の増減をみると、東京都、神奈川県、埼玉県など首都圏を中心に9都府県で人口増加となった一方で、約8割となる38道府県は減少していた。


世界に目を向けると、2020年の各国の人口は、中国が約14億3,900万人で最も多く、次いでインドの約13億8,000万人、アメリカの約3億3,100万人が続いていた。日本は11番目に位置し、世界人口のおよそ1.6%を占めている。なお、世界の人口上位20カ国のうち、2015年から2020年にかけて人口が減少した国は日本だけである。


さて、人口減少が顕著に続いている日本であるが、今回の国勢調査の結果と国立社会保障・人口問題研究所(以下「社人研」)が平成27年(2015年)国勢調査の確定数をもとに推計した2020年の総人口を比べると興味深いことが明らかになった。
今回の結果では、総人口約は1億2,623万人であったが、推計では約1億2,532万人で約91万人実績値が上回っていた。その差は約0.7%である。

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ほとんどの地域において今回結果と推計結果との差異は±1.0%以内に収まっているが、南関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)だけは実績値の方が推計値より1.6%多くなっていた。つまり社人研が推計した将来人口は1%以上過少に推計されていたことになる。とりわけ東京都においては、実績値の方が2.4%多くなっており、とくに過少推計となっていた。


今後も減少傾向が続くと予想される日本の人口。しかし、地域における人口の動向はさまざまである。日本の人口の約4割を占める南関東において、数パーセントであるが将来人口が過少に推計されていたことを考えると、1都3県に向けて企業が進めていた経営戦略やマーケティング戦略に影響を及ぼしているのではないだろうか。


国勢調査の「国勢」という言葉の意味を調べると、「国のいきおい」ととられがちであるが、調査の歴史をみると「全国の情勢」という意味で使われている。
正しく全国や地域の情勢を押さえることは、企業活動を行ううえでも非常に大切になってくる。今一度、5年に1度行われる国勢調査結果を見返すことは重要ではないだろうか。

この記事は帝国データバンク様の記事を転載したものです。
国勢調査結果から得られる経営上のヒント

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この記事を書いた人

帝国データバンク

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株式会社帝国データバンク(ていこくデータバンク、英: Teikoku Databank, Ltd.、略称: TDB)は、企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社である。1900年3月3日に後藤武夫が帝国興信社として創業、その後法人化し商号を帝国興信所とした。1981年に社名を現在の帝国データバンクに変更。それと同時に従来請け負ってきた結婚調査・雇用調査等の個人調査を廃し、業務を企業信用調査に特化した。本社は東京都港区。