「事業そのものでSDGsを実現していく日本のリーディングカンパニーになる」、自社開発のバイオ燃料で飛行機のフライトに成功した「株式会社ユーグレナ」

どんなに批判にさらされても、リスクを恐れず事業を進め、持続可能な社会の実現を牽引していきたいー。そんな力強く熱い思いでSDGsと真正面から向き合うのがバイオベンチャー「株式会社ユーグレナ」だ。2005年の創業当初から、栄養失調への問題意識から栄養価の高い「ユーグレナ」を使った食品の開発や、バイオ燃料の実装に向けた共同開発を進めてきた。アイディアの実現に長いスパンをかけて取り組み続ける、その根底に流れる企業フィロソフィーを伺った。

ゲストのご経歴

広報宣伝部 部長 

北見 裕介 氏

[ 経歴 ]
下着メーカー、化粧品メーカー、IT企業を経て、2019年に株式会社ユーグレナに入社。これまで、情報システム、Web担当、宣伝、EC、広報を経験。ユーグレナ社では、広報宣伝部の部長として、広報全体の企画・実施やオウンドメディア施策の企画策定、商品・素材のPRなどを管轄している。

管理部 人事課 採用チームリーダー

金田 謙祐 氏

[ 経歴 ]
新卒でIT企業に入社。小学生向けプログラミング教育を手掛ける子会社にて事業責任者として従事。2017年9月、株式会社ユーグレナ入社。経営戦略部でM&A業務等を担当したのち、2018年10月、管理部人事課に異動。採用チームリーダーとして新卒・中途採用を担当するほか、人事制度企画・運用、組織エンゲージメントの向上に取り組んでいる。

ー御社は、ヘルスケア事業、バイオ燃料事業のほか、バングラデシュの人びとを支援するソーシャルビジネスも行っていらっしゃいますが、創業のきっかけがそもそも「SDGs」に関わっていらっしゃいました。

北見様:
創業のきっかけは、社長の出雲が大学1年生の夏休みにバングラデシュを訪れ、栄養失調に苦しむ子どもたちを目の当たりにしたことでした。日本に戻り、栄養問題を解決できる食品がないか探す中、出合ったのが「ユーグレナ」という藻の一種です。ユーグレナは植物と動物の両方の性質を持ち、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、59種類もの栄養素がバランスよく含まれているスーパーフードです。ユーグレナで栄養問題を解決しようと決意し、2005年に創業しました。

しかし、当時は、ユーグレナを屋外で大量培養する技術がなく、増やすのは不可能だと言われていました。社長の出雲も、培養方法を模索しており、夜行バスで日本中を駆け回り、ユーグレナの研究者と会い続け、仲間とともに研究を続けました。また、起業した会社へ投資してくれる投資家を必死に探し回っていました。

すべては「ユーグレナで世界を救いたい」という思いでした。それが今に続いています。

一方、環境負荷が少ないユーグレナを活用した「バイオ燃料」の製造にもチャレンジが続いています。それ以外にもユーグレナは、様々な応用の方法があることがわかってきました。たとえば、バイオプラスチックや農業の肥料などへの活用です。佐賀市に「サステナブルテック・ファーム」という農地を設け、ユーグレナを肥料に用いた研究をしています。また、養殖の飼料への活用も進んでおり、三重県多気町で「多気サステナブルサーモン」の養殖を行っています。多気町で生産したユーグレナや使われずに捨てられていた米ぬかなどをブレンドした飼料で育成したニジマスで、未利用資源の活用が「サステナブル」だと考えています。これからも様々な応用を進めていきます。

ー「バイオ燃料」といえば、2021年6月、御社は自社開発のバイオ燃料を使った飛行機のフライトに成功しました。

北見様:
2020年まではバイオ燃料でのフライトは国内では0回でした。当時、世界では30万回以上、バイオ燃料を給油した飛行機のフライトが行われていましたが、日本では輸入のバイオ燃料、国内で生産したバイオ燃料、どちらでもフライトは行われていませんでした。2021年にようやくバイオ燃料でのフライトがはじまり、当社製造のバイオ燃料でも2021年6月4日に国土交通省が保有・運用する飛行検査機で、同月29日には民間航空機で、つまり2度にわたるフライトを実現しました。

バイオ燃料の製造に関しては、2018年10月末に、横浜市鶴見区に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工し、2020年3月にバイオディーゼル燃料が完成してからは、バスやフェリーなどに導入してきました。21年6月に、バイオジェット燃料を搭載した飛行機のフライトをようやく皆様にお披露目できました。

ーこのフライトにはどんな意義があったのでしょうか。

北見様:
たった1回、というフライトに感じる方もいるかもしれませんが、0回と1回では大きく意味合いが違います。「まず1回できる」ということは2回目、3回目ができる可能性があるということです。0回ということは進め方の検討がついていない状況に端からみると感じられますが、1回ということはステータスが変わり、再現性はどうすればできるのかとなります。そして当社は2021年になんとか2回、フライトを実施できました、これはまたこれからもできるということを皆様にお伝えできたのではないでしょうか。

当社は、思い描いたアイディアを社会実装させることが大事だと思っています。研究レベルで終わるのではなく、株式会社として事業をやっているからには、いかに社会でそのアイディアを当たり前にしていくべきかを考えています。現在、バイオ燃料を産業として確立するため、商業用のバイオ燃料製造プラントを作る計画を進めていますが、そのための第一歩が踏み出せたという点で意義がありました。

ーバイオ燃料を国産で作っていくことはどんな意味がありますでしょうか。

北見様:
産油国ではなかった日本において、「日本企業が産油企業になれる、油を供給できる」可能性が出てくる、という夢を感じています。また、サステナビリティという観点からも重要です。今後、世界的に石油が枯渇する可能性がある上、石油の利用には二酸化炭素を排出という課題がより大きくなってきます。廃食油とユーグレナ由来の油脂を原料にしたバイオ燃料を使うことで、燃焼段階で二酸化炭素を排出したとしても、カーボンニュートラルに貢献できる可能性があります。

ー2020年に企業理念を変えられました。その理由はなんだったのでしょうか。

北見様:
サステナブルな社会をつくっていく、その決意の形として創業15周年を迎えた2020年8月、ユーグレナ・フィロソフィーとして「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」を掲げました。企業は、常に持続可能な社会を志向していくべきですが、どうしても事業を進める上で難しくなることもあります。私たちは「Sustainability First」という企業フィロソフィーを設定することで、必ずサステナビリティを一番に考え実行していく、という企業としての覚悟を示したのです。2021年8月には定款を変更し、SDGsの17の目標全てを取り込みました。これは、SDGsを事業でやりきるという意思表示です。持続可能な社会を実現するため、真っ向から社会問題の解決に挑戦し、事業として成り立たせる。当社が成長することにより社会問題が縮小していくようにしたいと思っています。

ー創立当初から、サステナビリティの視点を持って事業の根幹に据えてこられましたが、改めてフィロソフィーに掲げられました。

北見様:
周りから見れば、1人の青年が世界を救うという妄想のようなところからスタートし、社会をより良くする技術を実装したいという思いで創業した会社です。その手段の1つがユーグレナで、ユーグレナを原料の一部に使ったバイオ燃料を出荷できるようになり、ようやく1つの形としてお見せできるようになりました。世界を救う夢を語ったときに妄想だと批判されても、事業として実行してきました。今回のCI(コーポレート・アイデンティティ)の変更は、2020年の1月にプロジェクトをキックオフし、一言目から、どんな表明ができるかと考えてきた集大成です。改めて、「Sustainability First」という共通語を持って、当社のメッセージを対外的にアピールできるようになったと同時に、今いる仲間たちと、揺るぎない当社の価値観を共有することができたと思います。

ー御社はバイオジェット燃料の実用化を、あしかけ10年で研究・実現されました。スタートアップやベンチャー企業が脱炭素という大きな課題に取り組む上での障壁や苦悩を教えてください。

北見様:
バイオテクノロジーを社会実装していくには資金が必要ですし、多くの企業・組織とのパートナーシップも重要です。SDGsの目標にも「パートナーシップ」が掲げられていますが、事業は多くの会社や地方自治体との協力のもとで成り立っているものです。たとえば、バイオディーゼル燃料では「いすゞ自動車」、「横浜市」に協力してもらっています。課題としては、事業の規模感がさらに10〜100倍になったときに、パートナーシップをもっと広げないといけないことです。みんなが当社のバイオテクノロジーを望んでくれる状態が大事だと考えていて、バイオ燃料がたとえ少量での商用活用であったとしても対外的に発表し、多くの人の共感を求めていきたいです。

ーチャレンジングにひたすらつきすすんでいらっしゃる御社ですが、どんなときにやりがいを感じられますか。

ユーグレナ社は理系な会社というイメージがあるとよく言われるのですが、かならずしも学校でいうところの理系科目が得意ではない仲間も多くいますし、生産管理からスタッフ職まで、バイオテクノロジーを社会実装させるために、さまざまな仲間が事業に携わっています。

2021年4月に、ガソリンスタンドでバイオ燃料を販売してみようという企画をしたときに、私たちの多くの仲間が一緒に運営に関わって、自分たちがつくってきたものをお客様に届けることができました。仲間たちは実際にガソリンスタンドに立ち、多くのお客様にお越しいただいたのを目にし、お客様に自らバイオ燃料の説明をすることも実施しました。その際、お客様からは「応援しているよ」「バイオ燃料を自分の車に入れることができて嬉しい」などというありがたい言葉をたくさん頂きました。

日々、成功だけではなく失敗も多々ありますが、お客さんの喜ぶ声に勇気づけられます。ウェブサービスであれば即日で実装できるケースもありますが、テクノロジーはアイディアを思いついて実装するまで、短くても3〜5年かかることが多いです。アイディアはあっても実装の段階に至れないということも多いと思いますが、2021年は特に持続可能な社会を目指すニーズが高まったこともあり、私たちの10年越しのバイオテクノロジーを一般の方々に広く知っていただくことができました。

事業は利益を追求することが必要ですが、2021年は、サステナビリティに取り組みながら利益も生み出せるということをひとつ事例として出せたのではないかと考えています。

ーサステナビリティ推進する際に、日本の企業はどうあるべきでしょうか、お考えをお聞かせください。

北見様:
日本は技術面での心配はないと思っています。ただ、より規模を大きくしていく上ではもっとパートナーシップを強化していくことが必要ではないかと思います。これからの社会では、自分たちだけが良ければ良いのではなく、得意分野を持ちよって一緒にイノベーションを創出していかないといけません。いまはまだ規模が大きくないにせよ、まだ社会から認知されていない技術やアイディアがたくさんあるはずです。力を持ちうる人や企業、組織などがそこに手を差し伸べるべきだと思います。それにより社会をよりよくする技術の社会実装は2倍にも3倍にもなるはずです。

社会のあり方にも多様性が必要です。トレンドや、ナンバーワンだけで成立する社会なのではなく、人の興味や嗜好のバリエーション、生活の仕方も様々なもので成り立たせていくことが重要ではないでしょうか。多種多様なものが組み合わさることによって、サステナブルな社会が実現できるのだと思います。競合ではなく共存で社会を作っていくという心持ちでやっていかなければならないと考えています。

SDGsの考え方は、誰かが良くなれば世界が良くなるのではなく、みんなが取り組まないと実現できない、1人のヒーローが地球を救うわけではなく、「誰ひとり残さない」という標語に対して、全員が意識的に取り組まないといけないと言っています。気づいたら良くなっているという形ではなく、「取り組むことが良いことなんだ」という気付きを当社からも発信していきたいと考えています。そのためには、夢を語る部分と、実現した部分、それぞれを社会に発信していきます。たとえアイディアの実装を失敗したとしても、同じように挑戦している人がいる、ということに気づいてもらえたら嬉しいです。

ー社会の中で、どんな会社になっていきたいと考えていらっしゃいますか。

北見様:
国連から発表されたSDGsの目標が言わんとしているのは、「このままでは地球全体がだめになるから、持続可能な社会に変わらなければいけない」ということです。そのための変化を私たちもつくっていきたいと思います。そのためには、先頭に立ち、バイオベンチャーとして前に進んでいく姿をお見せして、大中小、さまざまな企業が追随してくれたら嬉しいです。リスクを恐れずに事業を進めて、持続可能な社会を実現していくためのリーディングカンパニーとなっていきたいです

ーどんな人材を求めていますか。

金田様:
答えがない課題に対して仮説を立てて、自ら行動できる人です。当社は設立からまだ16年程度の企業で、歴史のある成熟した大手企業とは異なります。試行錯誤して、どうしたら昨日より今日、今日より明日がより良くなるのか、アプローチを考え続けなければいけない会社です。

私たち自身も日々、過去に囚われず、より良いアプローチを探し続けています。自分自身でどう動いたら今より良くなるかを考えて、主体的に行動できる人を求めています。SDGsに掲げられる社会課題を本業のビジネスで解決していると世間から認められている会社は日本でまだ多くないと思います。つまり、世の中にまだロールモデルが少なく、ほかを参考にして真似したり、追随してもできない中で、どのように社会性と収益性の二項対立を超えて、社会に大きなインパクトを与えていけるかということを考えていける仲間と一緒に働きたいと考えています。

株式会社ユーグレナの
求人情報

今回特集しました株式会社ユーグレナ様の求人をご紹介します。
ご興味がある方は、下記ボタンよりぜひご応募ください。

■求人:
ヘルスケア部門CFO
■年収イメージ:
イメージ ※応相談
■求める人物像:

【必須条件】
・四年制大学卒以上
★食品/化粧品通販および流通事業に関する経験と知識
・事業計画策定、事業PLの分析・予実管理・やモデル化の経験と知識
・複数部門にわたる予算編成や事業計画策定の経験
・財務会計に関する基本的な知識
・プレゼンテーション資料作成スキル
・コミュニケーション能力
【歓迎条件】
・通販事業のKPIに関する知識と分析/モデル化の経験
・ヘルステック領域の知識や経験
・ESG対応に関する興味、学習意欲
・英語力
・ヘルスケア企業での勤務経験(特に経営企画・営業企画領域)
・自らの専門知識や経験を基点に活躍しつつ、未経験領域にもチャレンジする意欲や知的好奇心
・状況やタスクの変化に強くストレス耐性が高い
【求める人材像】
・フィロソフィーとユーグリズムへの共感
・チームワーク、相互リスペクトを重視しながら、社内の他チームとスムーズな連携、コミュニケーションがとれる
・指示待ちではなく、全ての業務にオーナーシップをもって取組み、自ら考えて提案、行動できる
・ヘルスケア業界の動向や新トレンド等に知的好奇心を持ち、自ら情報収集、施策立案ができる

■求人:
IR・ESG担当
■年収イメージ:
イメージ〜〜800万円(経験・能力を考慮の上当社規定により決定)
■求める人物像:
【必須条件】
・事業会社でのIR経験、もしくは事業会社における経営企画/経理/財務経験を持ち、IR業務への意欲のある方
・ファイナンス/会計の知識
・プレゼンテーション資料作成スキル
【歓迎条件】
・ビジネスレベルの英語力(TOEIC800点以上)
【求める人材像】
・チームワークを重んじ、コミュニケーション能力のある方
・当社フィロソフィに共感いただける方
・能動的な行動力、論理的思考力のある方
・向上心や達成意欲の高い方

■求人:
サプリメント・サプリメンタルフードの商品企画
■年収イメージ:
イメージ 賞与込み600万円〜700万円程度 ※応相談
■求める人物像:

【必須条件】
●マーケティング、ヘルスケア関連の商品企画経験
●理念やビジョンへの強い共感
●本気で社会を変えたいという強い使命感
●目標達成への強いコミットメント力
【歓迎条件】
サプリメント、サプリメンタルフード&ドリンク、フードの商品企画経験
【求める人物像】
・イノベーション発想のある人
・コンフリクトを前向きに乗り越えられる人
・強い成長意欲を持つ人
・粘り強く挑戦できる人
・スピードと裁量を持って働きたい人
・自分の考えを持ち、周りの意見を受入れ、ベストを求める姿勢を持つ人
・既存の常識を疑える人

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